愛を教えてくれて、ありがとう。

元恋人へ

私の元恋人、ありがとう。

もう互いに新しい恋人もできて、私も今の恋人を心から好きだけれど、私達はまた会って、喋るようなことがあれば、なんとも言えない心の揺れを感じてしまうと思うのです。
そのくらい運命的に惹かれあってしまったし、うまくいかないとわかっていても、側にいることを選ぶことが仕方のない恋でした。

私にとってはあなたが初めてのちゃんとした恋人で、世の恋人たちがどうやって愛を伝え合うものなのか、全くわかっていませんでした。当時の私のモデルは少女漫画。あなたにとっては、私はうぶすぎました。手を繋いだ時も、触れているところがジンジンして、幸せだけど、つらかったのを覚えています。aikoが「触れてしまったら、心臓止まるかもと、本気で思った」って歌っているけれど、本当にそんな感じだったのです。あなたへの一挙手一投足に緊張して、髪の毛一本一本からもその張りつめた空気はきっと伝わってしまっていたでしょう。

そのあまりに肥大した私の自意識があなたをさみしくさせてしまいました。私は私しか見られなくなって、目の前にいるあなたに愛を伝える余裕がどんどんなくなっていってしまった。でも、本当にあなたのことは大好きで、だけどやっぱり私はいっぱいいっぱいすぎました。

あなたと別れて季節がいくつか巡った頃にやっと私のあの余裕のなさがあなたにとってはさみしく感じるものだったのだ、とわかりました。恋愛はふたりで育むものだから、相手を見つめなくてはいけないのだ、とあなたが気づかせてくれたのです。

あなたを土台にしてしまってごめんなさい。
そして私は今の幸せがあなたに支えられていることを奥の奥でちゃんと覚えていられます。

伝える資格もないけれど、愛を教えてくれたあなたに、ありがとう。

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