もう、逃げません

柳生先生へ

今でも先生の言葉を、褪せることなく鮮明に覚えています。

高校2年の夏、水泳部の合宿の最中、突然「辞める」と言い出した私のことを覚えていますか？それ以降プールに現れなくなった私を、いつも気にかけてくださっていることを知りながら、どうしても厳しい練習から逃げ出したくて、プールに向かうことができませんでした。

先生は、その頃私にかけてくださった言葉を覚えているでしょうか。「今逃げたら、この先ずっと色んなことから逃げるようになるぞ」まさに先生の言葉から逃げるように、私は水泳部を退部しました。

なぜ逃げてしまったのか、今では後悔でいっぱいです。できることならあの頃に戻り、最後までやりぬきたい。甘かった自分を、心底恥ずかしく思います。

あれからいくつか人生経験を重ね、私も大人と呼ばれる年齢になりました。次は絶対に逃げません。先生、必ず夢を掴みます。いつか必ず、作家としてもう一度先生に会いに行きます。その時はほんの少しでいい、私の姿を見て笑っていただけますか。

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