言えなかった「ありがとうの気持ち」

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Y君へ

私が小学3年生の時です。授業中に気分が悪くなりどうしていいかわかりませんでした。
しっかりした子なら手を挙げ先生に具合が悪いことを話したのでしょう。
当時、引っ込み思案だった私は手を挙げることでみんから注目されることに抵抗があり、なかなか手を挙げることができませんでした。

あっという間の出来事でした。私は我慢の限界で、あろうことか自分の机に嘔吐してしまったのです。
するとすぐに隣の席のY君がさっと席をたち雑巾を持ってきて汚物を掃除し始めました。

私は気分が悪く、また嘔吐してしまったショックで何が起きてるのか少しの間把握できませんでした。
気づいた時には先生もかけつけ、私がしてしまった後片付けをしてくれていました。嘔吐した後は気分も治り保健室に行くことはなかったです。

先生はみんなの前でY君の行動を誉め、私はいつまでも自分の件が取り上げられているようで落ち着かなかったのを覚えています。

Y君は1年生の時に転入してきました。同じクラスなので話はしますが異性ということもあり特に仲が良かった訳ではありません。
Y君の家の事情は全く知りませんでした。先生はY君が 1年生の時にお母さんを交通事故でなくしたことを話しました。
何も知らなかった私は驚きましたが、机に伏せって泣いているY君に声をかけることはできませんでした。

現在では私も母になりました。
今考えると隣の席の子が嘔吐をしても私の息子が同じようなことができたとはとても思えません。
お母さんがいないことでY君は兄弟の面倒をみることも多かっただろうと思います。

Y君にはとても感謝しましたが、その後も一度も感謝の気持ちを伝えることができませんでした。
今となってはもう遅いですがあの時は本当にありがとうと伝えたいです。
そして心から幸せでいてほしいと思います。

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