ゆっちゃん、息子はサッカーやってるぞ!

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ゆっちゃんへ

俺がゆっちゃんに出会ったのは高校一年生だったね。県内から学生が集まる高校だったから、同じ中学や同郷の友達が非常に少なくて、友達ができるか非常に不安だったよ。俺以外、みんな頭良かったしさ。毎晩寮で必死に勉強しててさ。俺は学校についていけるがとっても不安だったんだ。学校の先輩は後輩に厳しくてさ、毎日のように言葉遣いとか生活態度を注意されてたっけ。

俺みたいな頭のレベルだともちろん成績も悪かった。初めての試験の結果が完全に留年レベルで、遠く離れた両親からは心配の手紙が来てへこんだよ。勉強はできないし、先輩は怖いしで、毎日がだんだんつまらなくなってきたっけ。中学の時は一度もそんなこと感じたことは無かったんっだけどね。初めての大きな壁にぶち当たった感じで、毎晩、ベッドの中で「学校辞めたいな」って考えた。

そんな時、同じフロアーに住んでいたゆっちゃんに出会ったね。運動部で毎日遅くまで練習していたのに学校の成績が良くて、ハンサムで女性にも人気があって…俺には完ぺきな人間に見えた。でも、全然そんなことを鼻にかけるような性格じゃなくて、俺のことを見下したりバカにしないで仲良くし始めてくれたよね。もう毎日が嫌で嫌でしょうがなかった俺だけど、ゆっちゃんと卓球したりギターをしたりすることで、だんだん生活が楽しくなってきた。

夜は、俺のために食堂で一緒に勉強してくれたね。本当に感謝してる。ゆっちゃんのおかげで留年することなく卒業できたんだよ。ノートを貸してくれたり、参考書を一緒に使わせてくれたり。そんなことが当時はとっても嬉しかった。照れくさくて「ありがとう」ってなかなか言えなかったけど、本当に感謝してたんだよ。

卒業して、それから俺たちが大人になっても、ずっと仲良くしてくれたゆっちゃん。お互いの結婚式の時の友人代表挨拶を覚えていますか?他の誰が聞いても全然わからない二人だけの思いをぶつけあったね。大人になって泣いたのは、ゆっちゃんの挨拶を聞いた時と、俺があいさつしたときの2回だけだよ。それともう1回…

バイクが好きで、いつも整備してたよね。なんの目的があって部品を分解しているのか俺にはわからなかったけど、とても楽しそうにバイクのことを話すゆっちゃんを見ているだけで、俺まで幸せな気分になれた。本当に好きだったよね、バイクが。

ゆっちゃんがバイクで事故を起こして、もう俺とは会話できなくなっちゃったけど、いつまでも俺の心の中にはゆっちゃんがいるんだよ。同性に対してこれほど人を好きになったことは無かった。会えなくなってから、もう10年だよ。長かった。今でも寂しいけど、ゆっちゃんの息子は立派な高校生に成長したよ。ゆっちゃんに似てハンサムで、サッカーやっているんだ。一緒にサッカーに応援に行きたかったね。

これからもずっと、俺は死ぬまでゆっちゃんの息子の成長を見守るよ。ゆっちゃんが学生時代に俺を見守ってくれたようにね。安らかに眠ってくれ!

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