- 09 友人・同僚へのありがとう
- 2020.12.13
伝えきれない「ありがとう」
あの時のクラスメイトへ
私は運動神経がものすごく悪いです。
できないのにもほどがある、というくらいです。
走れば遅い、ボールは怖い。体育の先生に迷惑ばかりかけていました。
そんな私にとって、体育の授業…特にバレーボールなどのチーム競技は苦痛以外の何ものでもありませんでした。
自分ができないだけならまだしも、チームに迷惑がかかる。できないことよりもそっちの方が嫌でした。
運動神経がクラスで1番悪い私は、当然運動神経がいい子と同じチームになります。最初は教えてくれるものの、段々と呆れられ、「ちゃんとやって」としか言われなくなります。
ただ、あの時の彼女は違いました。
あの時は、バレーボールでした。バレーボールは、1番できない時の責任が重い競技だと思っていました。
そんな私に、「どんな方向にボールが飛んでいってもいいから、とりあえず打ってみて。私が全部取ってあげるから!」と。
不思議と、「ちゃんとやって」と言われれば言われるほど曲がるボールが、ストレートに飛ぶようになりました。
自主練習の時間も、嫌な顔ひとつせずに、私のために時間を割いてくれました。
「できる!上手い!」そう言ってくれる彼女は、いつも笑顔でした。
そんな彼女に迷惑をかけたままじゃいられない、という思いが強くなっていきました。
そして、最後のバレーボールの授業。相手からのサーブがものすごい速さで飛んできました。
彼女がいつものように打ち返そうとしました….が、ネットすれすれのところで、届きませんでした。
彼女は、私をカバーできるように、いつも私の隣の位置にいてくれます。
今にも地面に落ちて、相手側の点になりそうなボールに届きそうなのは、私しかいませんでした。
そう考える前に、体が勝手に動いて…打ち返していました。
なんとか打ち返したボールは…静かにネットを越え、チームの得点になりました。
私が人生で初めて、体育で点を決めた瞬間でした。
前までの私だったら、怖くて取れなかったと思います。
人生で初めての体験で、本当に嬉しかったです。
そのあと彼女が喜んでくれたのは言うまでもありません。
「カバーしてくれてありがとう」と。
ううん、私の方こそ…
いつも笑顔で励ましてくれて、運動の楽しさを教えてくれてありがとう。
その後、彼女とはクラスが離れることもなければ、体育のチームが離れることもありませんでした。笑
どんな時でも、笑顔で励ましてくれる彼女には、何回「ありがとう」と言っても伝えきれません。
私も、彼女のように誰かの背中を笑顔で押せる人になりたいです。
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