コルク栓といい思い出をありがとうございます。

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店長へ

目の前に、何年も大事に持っているコルク栓があります。スパークリングワインを飲みかけでしまうときに、栓をするために使うものです。今はコルクの部分はすっかりカラカラになって横半分に割れてしまい、もう栓としての役割を果たしませんが、上の部分がきめ細かいペンギンの彫刻で、見ているだけでもきれいなので、テレビの前に飾ってあります。もう15年前、働いていた飲食店の店長が、私の最後の出勤日に記念としてくださったものです。私ともう1人の同僚が1年間の現場研修を終えて外国へ配属になる直前のことでした。その日はお客さんが多くて、とても忙しい日でした。みんなずっと休まずに調理場で働いていました。だいたい1人当たり30分の昼休み以外はずっと肉体労働のしっぱなしでした。店長の休み時間が来ました。「ちょっと外に行ってくる」と言って、出て行きました。私は、コンビニでお昼でも買うのかと思って、自分も忙しくてたいして気にしないでいました。従業員は普通は調理場で自分で賄いを作りますが、忙しいと調理場のスペースがないので、コンビニでお昼を買うのは普通のことでした。忙しかったですが、私とその同僚の退勤時間にはもう落ち着いていました。店長は私たちに、プレゼントだと言って、コルクの栓をくれました。私のはペンギンで、同僚のは忘れましたがやはり動物の彫刻でした。そのとき知ったのですが、店長はお昼の貴重な30分休みを、これを買いに行くのに使ったのでした。感動して胸がつまりました。もちろん、この時も面と向かって口でありがとうございますと言いました。プレゼントのこともそうですし、お世話になりましたとも言いました。でも時が経つにつれ、店長は私たちをとても大事にしてくれたのだなとわかるようになりました。考えてみたら私たちは人事部が選んだのであって、店長自身が選んだ従業員ではありません。しかも私が赴任したときは別の店長で、その店長は1か月ほど後に着任しています。自分より先に来た従業員の面倒をみるというのは結構大変だったのではないでしょうか。それから従業員たちは正社員もアルバイトもとても仲良くやっていました。一度はみんなでスキーに行ったこともあります。いい人たちに恵まれてよかった~と普段から思っていましたが、店長のリーダーシップが大きかったのではないかと思います。本当にありがとうございました。

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