主役のいない誕生会

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夫へ

今年の3月のことです。子どもたちが臨時休校となったため、私は家で我が子と過ごす日々でした。
小・中学生の子どもたちの勉強をみて、一緒に運動をして、たまには工作や楽器演奏もして、おやつやご飯を一緒に作っていました。
子どもとじっくり向き合える時間を持てた反面、元気のありあまっている子どもたちを家にずっといさせることはなかなか大変で、お互いにイライラすることもありました。
そんなイライラがピークに達しようとしていた3月末に、遠方に暮らす私の父の誕生日がありました。
いつもなら子どもを連れて実家まで泊まりに行き、みんなでレストランに出かけてお祝いをします。ですが今年は自粛をしようと決めました。
そのとき私は、とても悲しい気持ちになり過度に落ち込んでしまったのです。
頭では「こんな時なのだから仕方ない」と理解していましたが、「年老いた自分の親に、いつになったら会えるのだろう」という不安が大きくなって、私は笑顔がうまくつくれなくなっていたと思います。
それでも朝からなんとか気持ちを奮い立たせて、いつものように子どもたちの勉強を見ていると、夫が「食料品の買い物に行ってくるから」と出かけていきました。
帰宅した夫は私の父の大好物を買ってきてくれていました。
そして食卓にきれいに並べると、みんなで乾杯をする姿をスマホで撮影して私の父に写真を送ろうと言ってくれました。
私と実家の父に対する夫の深い深い思いやりに、涙がとまらなくなりました。
こんな時だからこそ、夫のように家族を笑顔にできる人に私もなりたいと思いました。
そう思わせてくれた夫に、心から「ありがとう!」

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