- 03 お祖母ちゃんへのありがとう
- 2019.08.27
おばあちゃんの背中
おばあちゃんへ
当時、私が社会人になって間もなく、就職先のお店が閉店。その事があって給料が頂けず、無一文となってしまったことがありました。ほんの少し前まで学生だった私に貯金などあるはずもなく、すぐさま途方に暮れることに。。。少しの間友人のお家にお邪魔させてもらい、生きていく為に必死になって働いたことを覚えています。
寝る間も惜しんで働いたことでお金は徐々に貯まっていき、引越しができるぐらいまで貯金ができました。物件も決めて、お世話になった友人にささやかなお礼をさせて頂き、いざ引越!と息巻いていた矢先、通勤中、私は救急車で運ばれてしまったのです。お金に余裕ができたことで緊張の糸が切れてしまったのか、40度近くの高熱で倒れてしまったのです。
その時すぐに駆けつけてくれたのはおばあちゃんでした。約3時間かかる距離があるというのに。。もともとおばあちゃんは私の前で寡黙な上に表情一つ変えることのない人でした。そんなおばあちゃんが血相を変えてやってきて、ベッドで横になる私見るなり、「こんな細くなって!後は任せて休みなさい!」とだけ言い残して病室を出て行きました。
おばあちゃんは身長が低いのにその時のおばあちゃんの背中がとても大きく感じたこと、なんだか分からないけれど、涙が溢れて止まらなかったことを今でも鮮明に覚えています。
それから10年経ち、おばあちゃんに会いに行きました。白髪も増えてシワも増えて、、あの頃の面影はなくとても弱々しい印象でした。久々に会ったおばあちゃん背中はとても小さく感じました。いつかは私も年老いていくけれど、あの時おばあちゃんが私に見せてくれたように、誰かを守れるくらいの大きな背中でありたいと思いました。
おばあちゃんは痴呆症であの時のことはもう覚えていないけれど、あの時助けてもらったこと、本当に感謝しています。おばあちゃん、ありがとう。
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