電車の中で酔って吐いた私を助けてくれた人

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あの日電車で助けてくれた男性へ

最初にお断りしますが、すみません、結構汚い話です。

あの日、私は良くないお酒を呑んだ後でした。
お付き合いに至るか微妙なラインでの、数回目の食事デートの帰りでした。

こちらからはどんどん相手のイヤなところが見えてきて、
向こうも私に興味を失っていくのがわかってきて、
たぶん次はないだろう、という、
まだお付き合いにも至ってないのに、別れ話のような食事会でした。

向こうも私もお酒は好きで強いのですが、あの日は本当にダメでした。
良くない雰囲気が作用したのか、限界には及ばない程度の量しか飲んでいなかったにも関わらず、帰りの電車の中で立っていられないほどのめまいに襲われました。

とっさにコンビニのビニール袋を引っ張り出し、吐しゃ物で床を汚すのは防げたのですが、車内に広がる臭い、音。
さほど混んではいませんでしたが、いい大人のあまりの醜態にみんながすごい目でこちらを見ているのを感じました。

ふと、大きな人が隣に立っていました。
スーツを着た会社員風の、自分の父より少し若いくらいの男性でした。
背中をさすってくれて、声をかけてくれました。
苦しくていっぱいいっぱいで、あまり覚えていませんが、「だいじょうぶ?」「そんなに呑んだの?」というような問いかけだったように思います。

その人はカバンを探ると、色付きの分厚いビニール袋をくれました。
私の握った汚物の袋を指し「これに入れるといいよ」と。
そうして私が降りる駅まで、壁際にうずくまった私を隠すように立っていてくれました。

本当に汚い話で申し訳ありません。
とにかく恥ずかしく情けない出来事でした。
他の乗客の人にも不快な思いをさせてしまいました。

そんな自業自得のみっともない状態の私を、そんな風にさりげなくフォローしてくれた通りすがりの男性の気遣いがありがたかったです。
袋を見えないように、という配慮。今思えば私が逆の立場だったとしても咄嗟に出るかどうか…。

その後お礼を伝えるすべもなく、もう十年も経ってしまいました。
あの時は本当に、ありがとうございました。
つらい時に、ダメな時に、通りすがりの人がくれた優しさが思い出として残っています。

おかげさまで、その後二度とあんな飲み方はしていません。

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