本当の息子にしてくれてありがとう

血の繋がりのない本当の父へ

私は養子です。
正確にいえば、母親は実母ですが、父親が義父になります。

小学校に入る前の話ですが、実父が母親や私に暴力を振るう人だったのです。
ガマンできなくなったのか母親は私を置いて出ていきました。
しかし、出ていったのはやり直す為で、母親は必死で働いてお金を稼いで私を引き取ろうとしていたのです。

その時に出会った人が今の義父で、私を引き取る為に実父とも何度も会い、その度に暴力や暴言を受けたそうです。
ですが、最終的には弁護士が間に入ったりして、私は義父の養子となりました。

そこからはまともな生活になったのですが、私はまだ小さいながらも人を信じることができなくなっていました。
というよりも、人のものを取る、人の悪口をいう、人に暴力を振るう、万引きをするなど、悪さをするようなったのです。

ですが、その度に母親や義父が謝りにいき、私には怒ることはせず、ただ抱きしめて「大丈夫だから」といってくれるのです。
私はどんどんと、「もう大丈夫なんだ」と思えるようになり悪さもしなくなっていきました。

母親が出ていってからの私の生活は最悪を極めるものだったはずなのですが、不思議とその時の記憶があまりないのです。
最悪だった頃の記憶は、引き取られてからの愛された記憶に消されたと私は思っています。

血の繋がりのない私を引き取る為に、殴られ蹴られ、私の為に頭を下げ、私の傷ついた心を癒し、私の閉ざされた扉を開けてくれた義父にとても感謝しています。
私にはとてもそんなことはできません。

お義父さん、いや、お父さん、本当に感謝しています。

あなたがいたから今の私があります。

お父さん、ありがとう。

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