心のこもった卵焼き

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父親へ

私は父親とそんなに話をしたことがありませんでした。ところが私が結婚をすると、ちょっと話をするようになったのです。それは、父親の作る卵焼きを通じて話すことが多くなりました。

父親は、決して料理が上手ではありません。しかしその不器用な父親が、私が実家に帰ると、きまっていつも卵焼きを作ってくれるのです。できた卵焼きは、真っ黒です。それは、焦げ焦げになっているからです。

また醤油味なので、塩っ辛いです。最初はこんな卵焼きは、食べれたもんじゃない!と一切食べませんでした。しかし毎回作るので、そのうち食べてみる事に。

すると何とも言えない、懐かしい味がしました。塩っ辛いのですが食べるとクセになる味なのかな、懐かしさがこみ上げてきて涙が出てしまいました。

その卵焼き、最近では父親自身がちょっと薄味にして健康に気をつけるようになりました。
二人の会話は今でもそんなにありませんが、父親からの味はどうか?と私からの美味しいという、そんなメッセージはずっと続いています。

卵焼き、ありがとう。とても美味しいです。

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