- 13 その他のありがとう
- 2018.04.14
運転手さん、ありがとう
学生の頃、街へ買い物に行くのにバスを利用していました。本数も少ない上、一人暮らしをしている場所から市街地まで時間がかかるので、料金も高額でした(片道40分、600円ほど)。もっと街が近ければ、もっと安ければ、といつも思っていました。
ある日、買い物帰りに街から最終バスに乗ったところ、次々に人が降りて、最後に私一人になりました。終点で降りる予定だったため、運転手さんに申し訳なく思っていました。
バス停に着く少し前、乗客が私一人であることを確認した運転手さんが、「学生さんですか?この辺りに住んでるんですか?」と、マイク越しに話しかけてきました。「そうです。」「いつもバスを使っているの?ありがとう」と、少し会話したところで、ちょうどバス停に着きました。
立ち上がろうとすると、運転手さんが、くるりとこちらを向いて近寄ってきました。少しだけ手伝って欲しいと言われたので、降りるついでに何か掃除か忘れ物などの点検かな、と思い了承すると、窓の日除けが上がっているか全席分確認してほしいと言われました。夜の便でしたので、当然日除けは全て上がっていました。
大丈夫ですよ、と答えると、にっこり笑って、「ありがとう。お礼にバスの運賃、半額にさせてもらうね」と言われました。
「僕も学生の頃、この辺りに住んでいたんだよ。同じようにバスを使っていたけど、料金が高くて大変だといつも思っていたんだ。今日は特別大サービス、これからもバスを使ってくれたら嬉しいな」。
明るいライトの下で見ると、確かに20代後半くらいの、若い男の運転手さんでした。何度も断りましたが、結局半額しか払わせてもらえず、にこにこと手を振って見送ってくれました。
人と人との関係がドライになりつつある今の時代、ただの乗客の一人にすぎない私に親切にしてくれたこと、今でも感謝しています。こんな運転手さんに出会えるなら、バスも悪くないなぁと思いました。
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