もうお会いすることもありませんが

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先輩へ

入社してから先輩が教えてくださったことは数え切れません。

同期も異性しかおらず、社内でも馴染めずに浮いていた私に手を差し伸べてくれた先輩はあなただけでした。仕事はおろか礼儀や作法もまだまだ分からなかった私にひとつひとつ丁寧に教えていただいたご恩は今でも忘れていません。

私が女性の先輩たちから少し反感を買ってしまった時のことを覚えていますか。毎日食べ物が喉を通らずに必死に出社していた私を休憩に連れ出してくださったこともありました。何があったんだと訊ねられても何も答えることが出来なかった私の口に、無理やり芋けんぴをねじ込んでくださったこと、とても面白くて笑ってしまったこと、今でもふと思い出して微笑んでしまいます。

先輩もまだまだ若いのに仕事が出来て、周囲の妬みや僻みなんて物ともせずに、初めて大きな契約を取ってきた私を大声で褒めてくださった時にはとても嬉しく感じました。

先輩はしばらくしてから転職をされましたがきっと今でも持ち前の明るさと粘り強さでお仕事に励んでいらっしゃることと思います。私は先輩に目をかけていただいたのになかなか目覚しい成長を遂げることは出来ていません。でも先輩に教えていただいた自分を強く持つという姿勢は今でも貫いています。

働くことの辛さや苦しみとの付き合い方、弱音や愚痴をビールで流し込む日々の無常さ、それでも頑張ることで味わえる楽しみ、先輩からいただいたたくさんの教えは今でも私の財産となっています。

短い期間でしたが本当にありがとうございました。あの時にいつも側にいてくださって、本当にありがとうございました。

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