失踪したお母さんの愛を感じ取れた嬉しい一言

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お母さんへ

私の母は、私が中学の時に失踪してしまいました。
失踪してからは、家の電話の横にかじりついていたのを今でも覚えています。
お母さんからの電話があるかもしれないと思っていたからです。
たまに無言の電話があることもあり「お母さん、お母さん」と呼び掛けたこともあります。
でも返事はありませんでした。
私には姉と弟の兄弟がいます。
なぜ、私達を置いて出て行ってしまったんだろう。とお母さんを憎んだこともあります。
ですが、お母さんが出て行ってしまった理由はお父さんの暴力だったということは分かっていました。
それでも、私達を連れて行かなかったのはなぜ。と思う日々でした。

私が高校を卒業してお母さんが遠くの街で見つかったことを警察から聞き、おばあちゃんと一緒に迎えに行きました。
お母さんは泣いて「ごめんね~」というばかりでした。
お母さんが見つかった喜びはとてつもなく大きいモノでした。
見つかるまでの間、ニュースで死体が上がったなどと聞くと、お母さんでは?と思うこともよくありました。
どれだけ心配したかという思いでいっぱいでした。
お母さんが見つかったのは嬉しいことでしたが、私は捨てられた子という悲しい気持ちはずっと心にありました。

30才になったある日、私の目の眼圧が上がり緑内障かもしれないと医者に言われたことがありました。
私はお母さんに「緑内障かもしれないって」と話すと、お母さんは当たり前のように「お母さんの目あげるから大丈夫よ」と言いました。
「でもお母さんの目が無くなるでしょ。生活も不自由になる」と言ったら。
「私はいいのよ、あなたにあげるから心配しないで」と言ったのです。
いくら親とはいえ目を上げるなんて言えるお母さんはすごいと思いました。
目をあげられるなんて現実的に無理だと思いますが、その気持ちに涙があふれてしまいました。
今までお母さんの愛情をあまり感じてこれなかった分、お母さんの強い思いが私の十数年の“寂しさ”を消し去ってくれました。

それから数日して病院で緑内障の検査を受けましたが、問題はなく、緑内障ではありませんでしたが、その目の病気をキッカケにお母さんのたくさんの愛を感じることができました。

お母さんありがとう。
これからも沢山の思い出を作ろうね。

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