お母さん、育ててくれてありがとう

母へ

両親は私が小さな頃に離婚し、母は３兄妹を女手一つで育ててくれました。

もちろん貧乏暮らしで、可愛い服を買ってもらったり、外食に行ったり、夏休みに家族旅行に行ったりなんてことはほとんど無く、周りの友達をうらやましく思うことが多くありました。大学進学も憧れていましたが、「ごめんね、お兄ちゃんしか大学行かせてあげられない」と言われ、泣く泣く諦め就職しました。

社会人になった私は、子供の頃に好きなように出来なかった反動なのか、とにかく遊び回りました。好きな服を買い、好きな物を食べ、旅行にもたくさん行きました。休日を全て遊びに費やし、外食三昧。母の作るご飯を食べる事が滅多に無くなりました。そんな生活をしていた私は体調を崩すことが多くなりました。

思えば子供の頃、滅多に風邪を引くことがなく、中学校卒業まで皆勤賞でした。私だけでなく、兄妹みんなも健康優良児でした。それは母が貧しいながらも栄養のバランスを考えた食事を毎日作ってくれていたからです。高校を卒業するまで、欠かさずにお弁当を作ってくれていたからです。

食事だけでなく、手作りの洋服もよく作ってくれていました。母が昔着ていたスカートから姉妹お揃いのスカートを縫ってくれた時は嬉しくて毎日のように着ていた事を思い出します。ご飯や洋服を作ってくれる事、当時はそれが当たり前で、特別感謝をするような事もありませんでした。

月日が流れ自分が母になり、あの頃の母がしてくれたように自分の子供たちにしてあげられているだろうか、とよく考えるようになりました。私はまだまだ母のようにはなれていません。私も母のようになれるでしょうか。お母さん、育ててくれてありがとう。

そんな母は今、孫たちのおやつのケーキを作り、お洋服を縫ってくれています。

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