11年越しの「ありがとう」

お父さんへ

私がお父さんに再び会えたのは今から４年前。
おばあちゃんが持っていた電話帳に書かれていたお父さんの番号を見つけ、ふと電話をかけたのがきっかけです。

私が保育園児のときに両親が離婚し、別々に暮らし始めた頃は私一人だけ大好きなお父さんが住むマンションへお泊まりに行っていたことを今でも覚えています。
お母さんが迎えに来た際は、お母さんに手を引かれながらもお父さんの方へ顔を向け、号泣していました。
そのとき両親がどんな気持ちで号泣する私を見ていたのかなと今になって考えてはみるものの、単純に”複雑”という言葉しか思いつきませんでした…。

あれから11年、全くの別人が電話番号を使っているだろうなと思って電話をかけた際、まさかお父さんが電話に出てくれるとは思ってもみませんでした。
あのときの喜びや驚き、感動、緊張などの一瞬にして駆け巡った感情を一生忘れません。

そしてその後、笑顔で再会しました。
再会することが決まったときは何を話せばいいのかと悶々としていましたが、いざ再会すれば悶々としていたのが嘘のようにずっと私はお父さんに話しかけていました。
離れていた11年間、本当に本当に色々とあったのです。
それからお父さんはいろんな場所へ連れて行ってくれたり、欲しいものを買ってくれたりしました。
私が何かに悩んでいるときはアドバイスをくれ、時には叱ってくれたりもしました。

離れていた11年間があってこそ、今の親子関係があると思います。
これからも私はお父さんに幾度となく「ありがとう」と伝えていくことでしょう。

ちなみにあとから聞いた話ですが、11年間お父さんの電話番号が変わらなかったのはいつか子供である私たちから電話がかかってきて出られるようにと考え、意図的に変えなかったみたいです。

お父さん、私のお父さんでいてくれて本当に、本当に、

「　ありがとう　」

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