がんになった娘

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お父さん、お母さんへ

急な腹痛で、救急車に乗り、検査し、即入院。翌日手術。手術の前に、高齢の母に連絡したところ、2時間かかる道のりを飛んで来てくれて、手術を見守ってくれた。てっきりこれで終わりかと思ったが、摘出した細胞からがんが見つかり、がん患者となった。

こちとら、50歳の娘から、高齢な両親に、がんになったことは言いにくいが、やはり、言わないとならない。「びっくりしないで、ゆっくり聞いてね。この間の手術後の検査で、がんと告知されたんだ」高齢の母は、絶句した。今の今まで、介護するのは娘、介護されるのは自分と思っていたからだ。

こちらも、老齢の母に、がんという言葉を発するのがためらわれた。順番が逆である。これほど、親を悲しませることはない。親がもう少し若ければ、まだ罪悪感も薄まるが、電車に乗れば必ず席を譲られる両親の年齢を考えると、ため息しかでなかった。

今まで健康だと思っていたが、突然のがんの告知で、やはり、気が滅入ったが、現代は二人に一人はがん患者だと、気持ちを振るいたたせてみるが、落ち込む気持ちは止めることができなかった。

すると、術後4日目に、母が入院先に見舞いに来た。水のペットボトル3本持ってきて、「あんた、これ飲んで、がんばりなさい。心配になる気持ちは分かるけど、お父さんと一緒に、あんたをサポートするから安心するように」と、自分は買ってきたトマトジュースをチューと飲み干していた。

「明るくなければ、病気なんて治らんよ。明るい顔しなさい」50歳で、いい大人の娘であるが、いつまでたっても、親の言葉は、心に染みる。治さなくては、はたと思い、意識が変化したのである。お父さん、お母さん、50歳の娘ではありますが、もう一回手術ありますが、気力で、治してみせますので、もう少し応援してくださいね。

本当に、ありがとう。

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