今更ですが

N社長さん

数年前、私はある建設関係の会社で働いていました。
その会社の社長、N社長とは、今ではもうお会いするような機会も無いのですが、何か有る度にあの頃、N社長に教えていただいた言葉を思い出しては、自分の心と向き合っています。

あの頃の私は、自分にとっての嫌いな人・苦手な人とは必要最低限しか関わろうとせず、又その事を隠そうともせず、そういった人達だけではなく、周りの人達にも不快な思いをさせていました。相手をより深く言葉なんかで傷つけた方が勝ちだ、という間違った考えに固執していました。

そんな私の間違いをいつも指摘してくださっていたのがN社長でした。
「そんな事だと、いずれお前の周りに人は居なくなるぞ」
「人を傷つけるから、自分も苦しくなるんだ」
と、時に教師のように厳しく叱りつけ、時にカウンセラーのように諭すように私に話してくださいました。

当時の私はN社長のそんな話を
「そんなのは、きれい事だ」
と思って聞いていました。

今、私の身近には、あの頃の私のような人がいます。まるで、あの頃の私を見ているよう。
客観的に、あの頃の私を見ることができる今だからこそ、あの頃N社長が何度も何度も言ってくださった言葉の意味を理解できるようになりました。

あの頃の私の気持ちがあんなにも苦しかったのは、人を傷つけていたから。今でははっきりとそうわかります。
人に注意したり、指摘したりするのは嫌な役目です。ましてや、何を言っても変わらない相手なら猶更の事。

N社長、今更ですがあの頃は色々な事を沢山教えていただき、ありがとうございました。

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