話を聞いてくださりありがとうございました

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広川さんへ

大学入学後、人見知り激しい私が入部したのはテニスサークル。強烈な勧誘を受けたこともあったけど、内向的な自分の性格を変えたい思いも多分にあった。

新入部員は最初はお客さん扱い。だからみんな優しかった。新入部員同士もなかなか本音を出さない、お互い探り合いながらの毎日だった。

大学のサークルと言えばちょっとヤンチャなイメージだったけど、それとは全く真逆で平和な日々。自分も内向的なままでも十分やって行けそうだった。ところがそこから自体が一変したのが、ゴールデンウィークにあった新入生歓迎コンパだった。

飲め〜食え〜。これまでの優しかった先輩は鬼と豹変し、新入部員は大学生の洗礼を浴びた。私は正直震え上がった。飲食が終わるとすぐ集められ、皆の前で自己紹介タイム。自分は緊張のあまりうまく話せなかった。皆から笑われ、何を言い直そうとしても、誰も聞いてくれなかった。

でもこれは私にとって珍しいことではなかった。いつもモタモタ喋るので、親ですら、まともに話を聞いてくれたことがなかったのだ。

新入生歓迎コンパはそんなこんなで終わり、片付けに。そんな中、ある先輩に呼び止められ、先ほどの自己紹介の件で、どうしてモタモタしてしまったのかを問いただされた。もう自分は心臓が爆発線ばかりの緊張状態で、モタモタ話し始めた。私の態度にただならぬものを感じたのか、その先輩の表情は一変し、私の話に耳をすませ、うなずきながら一言一言を聞き取ってくれた。

私はこんなに一生懸命に自分の話を聞いてくれたことが初めてだったため、思わずその場で泣き崩れてしまった。すごく嬉しかった。

私はそのサークルに卒業まで在籍し、今は卒業してから20年以上が経過。広川さん、今もその時のこと忘れません。私の話を一生懸命聞いてくださり、ありがとうございました!

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