ありがとう

お兄ちゃんへ

やりたいことのために大学で学ぶために東京へ行った時は、また戻ってくるだろうな、なんてのんきに構えていました。
しかし、地元に居たときの何倍も、何百倍も生き生きとして学校も部活も趣味も全力でやっていて驚きました。
あなたには閉塞感でいっぱいの田舎よりも、自由で魅力的な人も物も溢れる都会が天国のようだったのですね。

家では普通とは呼びがたい父親と毎日のように喧嘩していましたね。
顔に血管が浮き出るほど怒っていたのは記憶に残っています。
怒りっぽいあなたは、いつしか穏やかに変わりました。
世間にもまれて強くなっていったんですね。
でも、家族の他の人間が傷つけられていたら、必ず本気で怒ることができるのです。
あなたは芯の強い人なのです。

私も真似して上京したものの、結局は挫折してまた戻ってきてしまいました。
あなたはすごいです。
夢へと一直線に駆け抜けて行ける精神力も忍耐力も人の何倍もあります。
人のためにまた、夢を諦めようとする不器用さもあります。
そんなあなたを止めるために上京したのだと思えば、私の経験も無駄ではなかったと思えます。

そんかあなたはいつしか愛する人を見つけ、お父さんになりました。
不器用だけど、優しくて芯の強いあなたなら、子供も幸せです。
おめでとう。
そして、ありがとう。

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