「ありがとう」が言える幸せ

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お母さんへ

私が小学生くらいの頃から母は病気がちで、入退院を繰り返していました。

父は仕事で忙しいので私が弟二人の面倒をみたり、食事の仕度をしたりと家のことをしてきました。
中学に入りやってみたかった部活も諦め、何で私ばっかり我慢してやりたいことも出来ないのかと、次第に親に反抗するようになりました。
母の具合が悪くても、友達とでかけたりと、心のどこかでは申し訳ない気持ちがありましたが、とにかく自由が欲しくて好き勝手生きるようになりました。

母は次第に入院することが減っていき、普通の生活を取り戻せるようになってきました。

就職するとき、都内で一人暮らしをしたかった私に「お前の好きにしていいよ」と言ってくれましたが、母のことが心配で結局地元に就職をしました。
私は、自由に自分の思うように就職出来ないのも家のせい。自分の親が健康で元気だったら何でも思うように生きられたのに。と心のどこかで思っていました。
けれど実家を出られないのは、自分に本当にやりたいことがなく、また都内で一人暮らしをする勇気もなかったせいなのに、親に責任転嫁をしている自分がいました。

20代くらいまでは、そんな自分に向き合うことができず、実家にいる私はいつもどこか不満そうだったと思います。
30代後半になり、結婚して家庭を持ち実家を離れ、それまでの私は本当に子供だったんだと反省しました。

たとえ病気がちでも母がいてくれる幸せ。
感謝できる相手がいることはありがたいことなんだと思います。
ずっとずっと言えなかったけれど、やっと素直に言えそうです。

「お母さん、生きていてくれてありがとう」

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