幼い頃のありがとう

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あっちゃんへ

あっちゃんと会えなくなってからもう20年近く経ちました。もともと家が近所で、きょうだいのいなかった私にとってあっちゃんは、お姉さんのような存在でした。公園で遊んだりお互いの家を行き来したり、身体が小さく同級生のお友達がなかなかできない私に本当に優しく接してくれました。

幼いころはよく分かっていませんでしたが、あっちゃんは所謂帰国子女で、まだ小さいとは言え英語がぺらぺらだったことも(でも日本語もきちんと話していましたね)私はとても憧れていました。

あっちゃんのお母さんがお家で開いていた英会話教室に少し混ぜてもらったり、海外のアニメを観たりCDを聞いたりと、当時の私にとってとても貴重で素晴らしい体験をもたらしてくれました。

ご両親のお仕事の都合でまた海外へ行くとなった時には、大げさですが私はほとんど絶望してしまいました。

あの頃の私にとって日本とどこか他の国とはつまり、世界の果てのようなもので、どうやって連絡を取っていいのかも、向こうであっちゃんがどのような暮らしをするのかも想像もつかず、ただ何となく本当に私の手の届かないところに行ってしまうんだ、私はここに取り残されるんだといった暗い気持ちになりました。

いつ帰ってくるのかも、そもそもいつか帰ってくるのかも分かりませんでしたが私が中学にあがった頃に帰国したあっちゃんはますますパワーアップした素敵な女性となっていました。中学英語につまずく私に簡単だと笑って丁寧に勉強を教えてくれたこと、学校になじめない私にワールドワイドな価値観を与えてくれたこと、感謝してもしきれません。

あっちゃんはしばらくしてまた海外に行ってしまいました。そして長い年月が経って、私もすっかり大人となりましたがあっちゃんはやはり私にとってほとんどお姉さんといっていい存在です。もし次に会ったらどんな話をするのでしょう?まずは幼いころのたくさんの感謝の気持ちを、きちんと伝えたいです。

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