優しさを教えてくれた人へ

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「統合失調症」

この病気について知ったのは、貴方との出会いがきっかけでした。
それまで名前は知っていても、どんな病気か詳しくは知らず、
「頭がおかしくなって人に危害を加える怖い病気」
そう勝手に思い込んでいました。

初めて貴方がこの病気と闘っていると知った時、
私は貴方と話すのを少しだけ躊躇してしまいました。
(危ない人だ、近付かない方が良いかもしれない)
そんなふうに思ったのです。
病気のことを打ち明けるのは、勇気がいたことでしょう。
その勇気を、真摯な気持ちを踏みにじってしまったこと、
あれから1年近く経った今でも深く後悔しています。

貴方と出会うまでの私は、自分のことしか頭にない
非常に心の狭い人間でした。
学生時代辛いイジメに遭った経験から、
「自分の身は自分で守らなければ」
そんな強い想いが常にあり、その想いが強すぎるせいで
「あの人って、自分のことしか頭にないよね」
なんて周囲から批難の言葉を浴びることもしばしば・・・
今思い返しても最低な人間だったと思います。

自慢話ばかりする傲慢な人から、
大人しい性格で人と接するのが苦手な人まで、
色んな人に分け隔てなく平等に、優しく接しているのを見て、
私は貴方のことをとても素敵な男性だなあと思いました。
「人に優しくしたって、自分が損するだけじゃないの」
と初めは意固地になっていた私ですが、次第に
私自身の方が間違っているのではないかというふうに
感じるようになりました。

人に傷つけられて、人に優しくすることができなくなった私。
だけど、本当は人に優しくしたいんだ。
ある日ふと、そんなことに気づきました。
その日から少しずつ私の性格は変わっていきました。
自分のことしか頭になかったのが、他人のことを思いやるようになり、
その変貌ぶりは周囲から目を丸くされる程でした。

「芥川さん、なんか性格変わったよね。
前より接しやすくなったっていうか、何ていうか」
周囲からそう言われることが増え、人の輪の中に入って
話をすることが多くなりました。
一人ぼっちで意固地になっていた、以前の私とは大違い。
人に優しく接することで、人生がより豊かに、そして
充実したものになっていきました。

統合失調症という病気について詳しく知ることができたこと、
人に優しく接するその大切さを教えてくれたこと、
私の人生を大きく変えてくれたこと。
心の底から深く感謝しています。
貴方は一体これからどんな人生を送るのでしょう。
どんな試練が襲ってきても、すべて乗り越えられるような
強い強い力をそっと貴方に授けたいと思います。
今後の人生に幸多からんことを。
願いを込めて、この手紙を終わらせて頂きます。
最後まで私の文章を読んでくれてどうもありがとう。

平成30年4月11日(水) 
芥川 のぞみ

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