子供の財布を拾ってくれた男の子へ

財布を拾ってくれた男の子へ

ある日の午後、遠方に住む子供から一本の電話が家にかかってきました。
「お母さん、財布無くした。」
　「えっ、財布？中に何が入っていたの？」
「お金と学生証と無線従事者免許証と…。」
　「ええっ！どこかで落としたの？いつ無くしたの？」
「わからない。」
　「すぐ警察署に行き、落し物の紛失届けを出していらっしゃい。」

これが、子供が大学に入ってすぐに起きた事件でした。
自分でも経験が無かったので、物凄く心配しました。まだ家を出てすぐの世の中の右も左もわからない子の財布です。誰か悪い人に拾われていたらどうしよう…、と。頭の中がパニックに。悪用されるのを恐れ、見つかるまでは気が気ではありませんでした。

一応、落としたかもしれないので警察に届け出ておいたのが良かったです。
その後、見つかったと連絡が入り取りに行きました。

中身は…。全て入っていたようです。気のせいか、小銭が増えたような気がする、と言っていましたが。

財布と一緒に、お礼をして欲しいという事で、住所と名前と電話番号が書き添えられていました。どんな人に拾われたのかなー？と、すぐ確認すると、結構近くに住んでいる男子中学生でした。

ひとまず”ほっ！”とし「良かったねー、悪い人でなくて。中身もほとんど残っていて」と。

このご時世、お金がない人なら黙って持って行ってしまう人が多いだろうに、ちゃんと手元に返ってきたのは奇跡だよ。一軒家に住むお子さんに拾われて、この財布はラッキーだったね！と。

もし、財布が出てこなければ、新生活はげんなりで始っていただろうに。あなたはそれを阻止して下さいました。警察まで届けに行くのに手間もお金もがかかっただろうに。男子中学生君とそのお母さま。きちんと届けて下さって、本当に有難うございました！大変感謝いたします。

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