お世話になりました、ありがとう

Tさんへ

学費を稼ぐために始めた夜のお店でのバイト。初めてお話したお客様があなたでした。
私の年齢を聞き、自分の娘ほどだと笑った優しい目を今でも覚えています。

暗い性格で、人と話すのが苦手。顔もスタイルもよくないし、冗談のひとつも言えません。
ホステスとして最低ラインにいた私を、あなたは決して怒らず、しかし見捨てず、ほとんど毎週会いに来てくださいました。私の下手な話を聞いてくださいました。話題が見つからなくて焦る私に面白い話をたくさんしてくださいました。あなたが来てくださる木曜日を、私はいつも心待ちにしていました。

私の誕生日にはガラスの靴を贈ってくださいましたね。私の名前が彫られた私だけの靴。本当に嬉しかった。親にも友達にも内緒で働いて、酔ったお客様に体を触られることもあって、後ろめたさとストレスでずっとみじめな気持ちだった私を、あの夜にお姫様にしてくれたんです。

ガラスの靴は今でも家に飾っています。これを見ると、自分に自信が持てるんです。こんな綺麗なものが贈られるのにふさわしい、綺麗な女性になりたいと心から思えるんです。

本当にありがとうございました。あなたのおかげで、私は今日も背筋を伸ばして生きています。

お気に入りに入れる