「ありがとう」をありがとう

子どもたちへ

　私がお母さんになってから。
　毎日毎日同じことの繰り返し。
　朝はご飯を食べさせて。
　保育園の支度をして。
　送り出して仕事をして。
　迎えに行ってまたご飯を食べさせて。
　お風呂に入れて寝かしつけをして。
　あなたたちが寝たら洗濯をして次の日の準備をして。

　そんな毎日に疲れて、私が仕事を辞めてから「おかあさんいつもおうちにいるね」なんて嬉しそうに言ってたね。

　ごめんね。お母さん、病気になっちゃったんだ。重い病気じゃないよ。ただ、ちょっと心が疲れちゃったんだ。
　あなたたちがいるのにね。

　いつも寝てばかりでごめんね。でもお母さんが寝てるベッドに「くっつんこ」って入ってくるあなたたち、本当に可愛い。
「お母さんは寝てるのが仕事なんだよ」なんてお父さんが言うこと、信じてくれて申し訳ない気持ちにもなったよ。

　起きれる日が増えてからは、お父さんがやってくれてた家事を、お母さんが少しずつやるようになったでしょ？でも、すぐに疲れちゃって完璧にとはいかなくて、休み休みになっちゃったよね。
　でもね。

「おかあさん、ごはんつくってくれてありがとう」
「おかあさん、おせんたくしてくれてありがとう」
「おかあさん、おむかえきてくれてありがとう」
「おかあさん、おへやきれいにしてくれてありがとう」

　言いなさいなんて言ってないのに、お母さんが何かするたびに毎回言ってくれるよね。
　毎日毎日、あなたたちが言ってくれるから、お母さん頑張れるよ。
　たまに「いちいち『ありがとう』なんて言わなくていいの」なんて言っちゃうけど、それでも言ってくれてありがとう。
　お母さん頑張るからね。
　早く病気治すからね。
　みんなと同じ、普通の「お母さん」になるからね。

　ほんとうに「ありがとう」をありがとう。

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