誕生日、おめでとう、そしてありがとう

みゆきさんへ

昨年は、毎日のように、喧嘩をしました。

全く他愛のないこと、例えば、モノの置く場所、物事を行う順番、それから政治の話、世の中の話、外では全くそんな話はしないのに、いつも一緒にいるから何となくどちらからか話し出して、殆どの場合意見は一致しているのにどんどん細かい細かいところに入っていって、違うところでお互い言い合っていたよね。

きっとこの光景を見た親しい人たちは、自分の知っている私達とは全然違うと思ったでしょうね。でもあれが私達の素の部分だよね。

一言で言えば、同族嫌悪なのかもしれません。まるで鏡を見ているよう。でも、もし間違って私がそんなこと言ったら、あなたは全否定したでしょう。私も薄々気づいていたんだけれど、そんなこと絶対に口にしたくなかったというのが本当の所。

でも、やっぱり似た者同士だったのかもしれません。あまりに似ているから、ムキになって違うところを探してお互いに確かめ合っていたのかもしれない。今になって冷静に振り返ってみるとそんな気がします。

若い頃は一緒に暮らしていなかったし、まさかまた二人で一緒に暮らす日が来るなんてことはちょっと前には全然考えられなかった。

でも、実際3年ほど、私達はまた私が子供の頃のように一緒に生活することになりました。今日はそんなあなたの誕生日でしたね。鏡が無くなってしまって、私は自分を確かめる事ができなかったから、このところ、少し元気がなか
ったような気がします。お誕生日おめでとう、そして、ありがとう、お母さん。

お気に入りに入れる