おばあちゃんのごはん

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おばあちゃんへ

共働きの両親のもとに生まれた私。ご飯を作ってくれたのも、幼稚園に迎えに来てくれたのも、反抗期の感情のぶつけ先も、全部、おばあちゃんでした。

そんなおばあちゃんがボケてしまってから、私は日々、正直、戸惑っていました。手に持ったお薬を飲まないおばあちゃん。早く飲んだら、と声をかけただけで、感情的になって怒って泣いてしまうおばあちゃん。飲んだと言って隠していた薬が袋いっぱいに出てきたこともありました。

トイレを失敗してしまうようになったおばあちゃんに、あえて明るく声をかけ、オムツじゃなくて最近はトレーニングパンツって言うんだよはいてみたら、と言った時の恥ずかしそうな顔を、時々今も思い出します。

私は痴呆になってしまったどれだけおばあちゃんにちゃんと向き合えていたのかな。感情的になり、記憶が欠けていることを自覚して心が落ち着かず、被害妄想がどんどん強くなってしまったおばあちゃん。とても人には言えないようなこともたくさんありました。あの介護の日々の中で、私たち家族はたくさん泣いたけど、それでも、おばあちゃんがいる生活が良かったです。

おばあちゃんは厳しい人で、掃除をしても片付けをしてもダメ出しをされたけれど、私が料理を作った時だけは、美味しいと絶対に褒めてくれた。失敗してしまった時でも。そのことに私が気がついたのは、おばあちゃんが亡くなってからでした。おばあちゃんが毎日ご飯を作ってくれたこと、忘れないよ。これからは大好きな人のために、おばあちゃんみたいに、毎日ご飯を作るからね。

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